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特殊株主から株主総会に出席するという連絡があった場合の対応
弁護士 伊東 卓

 特殊株主とは、いわゆる総会屋のことです。
 総会屋とは、企業から不正な利益を得ることを目的に、少数株を取得して株主総会に出席し議事を混乱させたり、議事を混乱させないことを条件に不正な利益を得る者の総称です。総会屋が暴力団と親和性を持つ存在であることはよく知られています。

 まず、総会屋の目的は、総会を混乱させることをネタにして企業から金品を得ることにあります。総会屋は、企業の経営陣が株主総会をひたすら短時間で穏便に済まそうと考えるところにつけ込みます。確かに、総会で企業のスキャンダルや恥部を公表されたり、罵声で総会を混乱させられたり、大勢の人前で無能呼ばわりされたりすることは、誰しも望むものではありません。

 しかし、必要以上に怖がることは何もないのです。総会屋の実態を見ると、その数は平成十年以降激減しており、現在の活動数は全国で約四百人程度とされています。また、総会屋の活動状況を見ても、実際に総会に出席することは少なく(平成14年の調査では、株主総会開催企業のうち総会屋が出席したのは約3パーセントです)、出席しても発言することは少ないとされています。以前は、大声で騒ぐ、物を投げるなどの暴力的な総会屋もいましたが、近年はそのような傾向は薄れ、総会屋が質問したとしても重箱の隅をつつくような嫌がらせの質問をする程度の場合が多いと指摘されています。

 つまり、総会屋は、実際に総会を混乱させるというよりは、総会を混乱させられることを嫌がる企業の心理につけ込み、金品を得ることを目的としているのです。

 しかし、総会屋に金品を与えること(利益供与)には絶対に応じてはなりません。利益供与に応ずれば、企業側も商法の利益供与罪に問われます。利益供与罪で企業が摘発された場合、以前のようなトカゲの尻尾切りでは逃れられません。企業のコンプライアンス(法令遵守)が求められている近年では、企業トップは辞任を迫られ、企業の経営姿勢そのものが厳しい批判にさらされることになります。このような事態は絶対に避けなければなりません。利益供与は愚の骨頂と心得るべきです。

 なお、商法では、総会屋が利益を要求しただけで犯罪になるものと定めていますので、総会屋の要求行為があった場合は、直ちに警察に被害届を出すべきです。

 そして、実際に、特殊株主が総会で発言することが想定される場合であっても、適切な議事進行ができるように事前に十分な対策を取れば、何ら恐れることはありません。

 具体的な方法としては、(1)答弁は担当役員に行なわせ議長は議事進行に専念する、(2)予想される質問に対しては予め一括して回答してしまう、(3)議事混乱が予想される場合は議題ごとに審議せず一括審議を行なうなどの方法がありますので、これらを利用するとよいでしょう。

 また、総会で企業が質問に回答すべき範囲は限られており、どんな質問でも回答しなければならないというものではありません。議事妨害目的の質問や総会に関係のない質問、長時間にわたる質問等は議長が当然に打ち切ることができますし、打ち切りの制止に応じない場合には退場を命ずることもできます。予めこのことを理解してリハーサルを行なっておけば、総会屋を恐れることなく適切な議事進行が図れるはずです。

 なお、総会屋の出席及び発言が予想され議場の混乱が心配されるようであれば、警察の臨場を予め要請しておくのがよいでしょう。
(平成15年11月8日記)

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