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平成15年7月4日に公布された改正労働基準法は、平成16年1月1日に施行されることになりました。今回は、有期労働契約、解雇、裁量労働制、の3つの分野で改正がなされています。
本稿では、このうち、有期労働契約の点、特に「有期労働契約における更新・雇止め」の点に関して、改正労基法施行後に使用者として留意すべき点を解説します。
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有期労働契約に関する今回の改正点は、次のとおりです。
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| イ) |
契約期間について
まず、有期労働契約の期間の上限が、これまでの原則1年から「原則として3年」に延長されることになりました。そして、高度の専門的知識を有する者と満60歳以上の者についての労働契約期間の上限は5年に延長されることになりました。
さらに、この延長に伴い、当面の間、高度の専門的能力を有する者と満60歳以上の者を除き、労働契約が1年を経過した日以後においては、労働者は、使用者に対し、いつでも退職を申し出ることができることになりました。
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| ロ) |
更新・雇止めのルールについて
次に、厚生労働大臣は、有期労働契約の締結時と期間満了時に発生が懸念される労使間紛争の未然防止のため、a)使用者が講ずべき労働契約の期間満了に係る通知に関する事項と、b)その他必要な事項とについて、基準を定めることができるようになりました。
そして、行政官庁は、有期労働契約の締結・期間満了をめぐる紛争を未然に防止するため、この厚生労働大臣の定める基準に関して、有期の労働契約を締結する使用者に対して、必要な助言及び指導をすることができることになりました。
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このような労基法の改正を踏まえ、使用者は次の点に留意しなければなりません。
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| (1) |
改正法施行により、3年以上の期間を定めた労働契約の締結が可能になりました。
本来、短期の期間を定めて労働契約を締結した以上、その契約期間が満了するまでの間は、労使双方ともに、やむを得ない事由がない限り、雇用契約の解除をすることができず、かつ、そのやむを得ない事由が労使の一方の過失によって生じたときには、相手方に対して損害賠償義務を負担するのが原則です(民法628条)。
ですから、契約期間が満了するまでの間は、使用者から労働者に対して雇用契約の解除を行うことは、やむを得ない事由がない限りできず、労働契約を期間途中で解消する方法は、解雇する以外にはありません。
ところが、上述のように、労働者の側からは、1年が経過した後には、民法628条の規定が特別に排除され、いつでも労働契約の解除の申し入れをすることができ、しかも損害賠償義務を負担することもありません。
1年以上の期間を定めた労働契約を締結した場合、使用者としては、1年が経過した後には、労働者の側から契約解除の申し入れがなされる可能性があることを念頭に置いておく必要があります。
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| (2) |
短期の期間を定めて労働契約を締結し、その契約期間が満了すれば、それによって労働契約が終了するはずであり、その後契約を更新するか、しないかは、使用者と労働者との合意に任されるはずです。したがって、使用者の方で、契約期間の満了に伴い、労働契約を終了させる(雇止めをする)のは自由なはずです。
しかし、有期の労働契約が反復更新され、「期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態」になっていたという場合や、そこまでいかなくても、労働者にとって雇用関係について「ある程度の継続が期待されていた」ような場合には、解雇に関する法理が類推されるというのが、最高裁判所の判例の考え方です(東芝柳町工場事件、日立メディコ事件)。
どのような場合であれば、短期の労働契約が「期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態になっていた」とか、「労働者にとって雇用契約関係のある程度の継続が期待されていた」といえるかは、まさにケースバイケースであり、例えば、何回短期労働契約が更新されるかという回数などで定めることは困難です。
そこで、これまで、厚生労働省は、「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針」(平成12年12月28日基発第779号、以下「旧指針」といいます。)を示して、有期労働契約の締結及び期間満了をめぐる紛争の防止を図ろうとしてきましたが、今回の労基法改正に伴い、厚生労働省は新たに「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚生労働省告示第357号、以下「新基準」といいます。)を定立し、改正労基法とともに、平成16年1月1日よりこれを適用することにしました。単に、旧指針が新基準に変わったというだけでなく、これまでは単なる指針に過ぎなかったものが、改正労基法という法律に根拠を有する新基準が定立されたわけですから、注意を要します。
新基準の内容の詳細について、本稿で取り上げる余裕はありませんので、概略だけをお知らせいたします。
まず、有期労働契約締結時において、使用者は、労働者に対して、(1)期間満了後の更新の有無を明示しなければならなりません。また、(2)更新する場合がある旨明示したときには、同時に、更新する場合またはしない場合の基準を明示しなければなりません。この(1)(2)については、使用者から労働者に対して書面を交付することによって明示することが望ましいと思われます。
また、1年以下の契約期間の労働契約が更新されて、雇用関係が初回の契約締結時から通算して1年を超える場合、または、1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合には、(3)雇止めを行う(労働契約を更新しない)に際し、少なくとも期間満了の30日前までにその予告をしなければなりません。
さらに、(4)前述の予告がなされた場合、あるいは、実際に更新がなされなかった場合に、労働者が更新しない理由について証明書を請求したときには、使用者は遅滞なくその証明書を交付しなければなりません。当然のことながら、証明書には、契約期間の満了以外の理由を明示しなければなりません。
最後に、(5)有期労働契約を既に1回以上更新し、かつ、雇入の日から起算して1年を超えて継続勤務している者との間の有期労働契約を更新するに際しては、契約の実態及び労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。
このように、平成16年1月1日以降は、有期労働契約を締結する使用者に課される義務が厳格になりますので、ご注意下さい。(1)(2)(4)の具体的な記載方法などについては、個別にご相談下さい。
(平成15年11月4日記) |
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